『ドラゴンクエストI・II』(ドラゴンクエストワンツー)は、スクウェア・エニックスより発売されたゲームソフト。ジャンルはRPG。
日本では、1993年にスーパーファミコン(以下SFC)用ソフトとして発売。また、1999年にはゲームボーイ(以下GB)用として『ゲームボーイ ドラゴンクエストI・II』が発売された。2011年9月発売予定の『ドラゴンクエスト25周年記念 ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III』にはSFC版が収録される[1]。
アメリカでは2000年にゲームボーイ用ソフト "Dragon Warrior I & II" として発売された。
概要[]
ファミリーコンピュータ(以下FC)用として発売されたドラゴンクエストシリーズの作品のうち、第1作『ドラゴンクエスト』(以降『I』)と第2作『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』(以降『II』)を1本のソフトとしてリメイクしたものである。
SFC版『ドラゴンクエストI・II』は、同シリーズ初のリメイク作品となり、以降、旧ゲーム機の作品が順次、当時の主流のゲーム機でリメイクされていくこととなる。
世界観やストーリーはFC版、MSX版、MSX2版(以降これらをまとめて「旧作」とする)からほとんど変更が無いが、操作性は旧作と比べると向上している。また、詳細は以下に示すが、ゲームバランス面で細かい調整が加えられており、よりプレイしやすいゲームとなっている。
『ドラゴンクエスト』『ドラゴンクエストII』のどちらからでもプレイすることが可能で、冒険の書(セーブファイル)も各作品ごとに3つまで作ることができる。
なお、旧作に存在した実在の人物(ゆう帝=堀井雄二、アンナ=牧野アンナなど)のゲスト出演は、すべて削除された。
以下では、SFC版およびGB版『ドラゴンクエストI・II』における特徴やオリジナル版との比較などについて述べる。登場人物や世界設定に関してはそれぞれ原作の記事を参照のこと。
スーパーファミコン版[]
キャラクター操作や画面仕様などは、本作の前年に発売された『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』(SFC版)がベースとなっているが、マップ上のキャラクターのサイズはFC版とほぼ同じである。 グラフィック面では、マイラの村での木漏れ日やロンダルキアへの洞窟での靄などといった、『V』には無かった特殊効果が取り入れられた。シリーズからの継承[]
ボタン一発で会話や調査ができる「べんりボタン」機能、その場で装備可能な買い物システム、アイテムの預かり所、パーティの現在位置をゲーム画面上で確認する世界地図(II)など、多くの要素が『ドラゴンクエストV』から継承されている。
旧作のパスワード(復活の呪文)入力によりゲームを続行するシステムが、『ドラゴンクエストIII』以降と同じバッテリーバックアップによるセーブ機能(冒険の書)に変更された。これにより、ダンジョンから一度出て入りなおしても、宝箱の中身が復活しなくなり、重要アイテムを店に売却できなくなった(旧作ではかなりの安価で引き取られる[2])。これに関連し宝箱の中身が変更され、全体的に強力であったり高価なアイテムが増えた。
武器・防具は『I』でもほかのドラゴンクエスト作品と同様「どうぐ」のウィンドウに表示され(武器・鎧・盾それぞれ複数所持可能)、「そうび」コマンドで装備する扱いとなったが、『I』における「やくそう」と「かぎ」は、従来どおり6個までまとめて持つ方式である。また、『I』『II』ともに、「いのちのきのみ」「ちからのたね」などのステータスアップアイテムが追加された。
『I』での呪文は移動・戦闘用がどちらの時も全て表示されており、例えば移動中にギラ、戦闘中にリレミトなどを使うとMPだけ消費し効果無効になるシステムであったが、以降の作品同様に移動用・戦闘用のみが選択できるように変更された。
戦闘においては、背景画像や、武器攻撃や呪文を唱えた際のアニメーションなどが追加された。また『V』で登場した「みのまもり」のステータスが追加され、守備力の計算方法も『V』と同様のものに変更されている。このほか、『I』『II』ともに「すばやさ」が行動順位に影響する、敵が「きづいていない」[3]と出てプレイヤーが先制攻撃できるシステムの追加、旧作『I』に見られた「かいしんのいちげき」がミスする現象の削除、弱い敵からの「にげる」が必ず成功するなど、『III』以降とほぼ同様の戦闘システム仕様となっている。
シナリオの追加[]
『II』において、北米のNES版に存在したゲーム開始時のオープニングシーンが、本作に追加された(ムーンブルク城がハーゴン軍団に襲撃されるシーン)。このオープニング用のBGMとして、楽曲『パストラール〜カタストロフ』が新たに追加された[4]。
また同じく『II』において、ベラヌールの宿屋に初めて泊まった時、サマルトリアの王子がハーゴンの呪いにより病気になり、復帰条件を満たすまでパーティから離脱するというイベントが追加された[5]。
ゲームバランスの調整[]
以下の点が変更されることにより、ゲームバランスの調整が行われ、全体的にクリアが容易となっている。
解説文中の呪文の詳細はドラゴンクエストシリーズの呪文体系を参照。
- モンスターのステータス、呪文耐性、戦闘中の行動パターンの修正。倒したときに手に入る経験値やゴールド(貨幣)の増加。「ふしぎなおどり」で吸い取られるMPの軽減。
- ムーンブルクの王女の呪文に蘇生の呪文「ザオリク」が追加、その代わり「トラマナ」が削除。「ベギラマ」「ベホイミ」「スクルト」「ルカナン」の各呪文の威力の強化(ただし「ルカナン」は対象が敵全体→敵1グループに変更)され、一方で「バギ」が不安定、弱化気味となった。「ホイミ」(I)「ベホイミ」(I)「トラマナ」(II)の消費MPが低減され、トラマナの有効期間がパーティー全員がダメージゾーンを出るまでに変更(旧作ではパーティーの先頭キャラが出るまで)された。
- 仲間の蘇生時にHPが最大値まで回復するようになった。また、戦闘中でも死者の蘇生が可能になった(旧作ではHPが1にしかならず、戦闘中は敵のみ可能だった)。
- キャラクターが一度に持てるアイテム数が1人あたり最大10個に増加。
- 装備の性能の上昇。『I』の「ほのおのつるぎ」の特殊効果の追加、『II』のサマルトリアの王子の装備可能武器に「ロトのつるぎ」「ひかりのつるぎ」が追加。
- 旧作には存在しなかった店の追加(リムルダールの道具屋、サマルトリアの武器防具屋)。『II』のルプガナでのセーブ機能の追加。
- 「ロンダルキアへの洞窟」の落とし穴が、一度落ちた場所はそれ以降目視で回避可能になった。
- 「ロンダルキアのほこら」の神官がHP・MP全回復の他に死者の蘇生も行うようになり、蘇生のために下界まで行く(教会または「せかいじゅのは」入手)必要が無くなった。
- 「ハーゴンの神殿」の中ボス3体は、一度倒すと二度と出現しなくなった。
- 『II』のラストボスの使用呪文から、完全回復の「ベホマ」が削除。その代わりにHPが大幅に増加し、守備力調整の「スクルト」「ルカナン」が使用呪文に追加。
その他の変更点・共通[]
- BGMの一部変更。『I』と『II』が同じソフトに収録されたことで、一部のBGMが両作品で共通化されている[6]。
その他の変更点・I[]
- 「岩山の洞窟」「竜王の城」のダンジョンのマップの変更。
- 竜王との問答が「はい・いいえ」の両方とも2段階になった。
※ただし、武器を装備せず素手の場合は、「はい」を選択すると即イベント発生になる。
- 竜王の誘いに乗った場合の結末が「夢オチ」に変更され、そのままリムルダールからゲームを再開できる[7]。
その他の変更点・II[]
- モンスターの出現匹数による獲得経験値の割増[8]が廃止。純粋にモンスターを倒した分だけ加算されるようになった。
- ローレシア地下牢の「じごくのつかい」が「あくましんかん」に変更。一度戦闘すると(こちらが全滅した場合も)二度と出現しない。この「あくましんかん」を倒すと高い確率で「いかずちのつえ」をドロップする(ドロップしないこともある)。
ゲームボーイ版[]
ゲーム:ドラゴンクエストI・II | |
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対応機種 | スーパーファミコン |
発売元 | スクウェア・エニックス |
メディア | 12Mbitロムカセット (バッテリーバックアップ搭載) |
プレイ人数 | 1人 |
発売日 | 1993年12月18日 |
販売価格 | 9,600円(税抜) |
売上本数 | 約120万本 |
セーブファイル数 | 6(DQ、DQIIで各3ファイル) |
中断の書[]
携帯ゲーム機の性格上、プレイヤーはその場ですぐにゲームを中断せざるを得ない状況が起こりうる。このようなケースに対応するため、GB版では、その時点でのゲームの進行状況を即座にセーブし、次回ゲームを再開するときにその時点からすぐに始められるようにすることができる「中断の書」という機能が追加された。ただし、これは「冒険の書」と違い、あくまでも一時的なデータの保存手段に過ぎず、一度「中断の書」を使ってゲームを再開すると、その「中断の書」は消えてしまう。
町やダンジョン内部で「中断の書」に記録した場合、再開時のスタート地点は中断の書に記録した場所ではなく、そのマップで最初に出現した場所からの再開となる。後作では町・ダンジョン内の中断でも同じ場所から再開されるように修正された。
この機能は以降発売される本シリーズの携帯ゲーム機用作品や携帯電話アプリ作品でも採用されている。
なお、この中断の書の採用により、どこでも復活の呪文の発行または冒険の書の記録ができるアイテム「ふっかつのたま」が削除された。(データ上には存在する)FC版、SFC版ではモンスター「はぐれメタル」がこの「ふっかつのたま」を落としたが、GB版でははぐれメタルの落とすアイテムが「ふしぎなぼうし」に変更された。
その他の変更点[]
- モンスターに通常攻撃を仕掛けるときに、武器アニメの前に攻撃音が鳴るようになった。
- モンスターが出現した時、戦闘のBGMが流れる前に、SEが鳴るようになった。このSEはモンスターズからの流用で、『I』では通常エンカウント用のSEが、『II』ではボスモンスター用のSEが鳴る。
- 『果てしなき世界』にイントロ部分が追加された。
- 福引の5等の景品が「やくそう」から「キメラのつばさ」に変更されている。
- 福引で当たった時に流れる効果音が、『II』のオリジナルの効果音から、『IV』以降のカジノで使用されている効果音と同様のものに変更された。
関連書籍[]
- スーパーファミコン版
- Vジャンプブックスゲームシリーズ ドラゴンクエストI・II
- ドラゴンクエストI・II 公式ガイドブック (ISBN 978-4870257412)
- ゲームボーイ版
- Vジャンプブックスゲームシリーズ ゲームボーイ ドラゴンクエストI・II (ISBN 978-4087790368)
- ゲームボーイ ドラゴンクエストI・II 公式ガイドブック 上巻 世界編 (ISBN 978-4757501157)
- ゲームボーイ ドラゴンクエストI・II 公式ガイドブック 下巻 知識編 (ISBN 978-4757501164)
脚注[]
- ↑ FC版1作目と『II』『III』、SFC版『III』と共に収録
- ↑ 特に『II』の場合、預かり所が無い上、武器・防具も含めて3人それぞれ道具を8個までしか持てなかったための設定。ただし、「金の鍵」など一旦アイテム欄から消えた時に限って何度も入手可能なアイテムも存在した。
- ↑ 旧作では敵のみ先制攻撃することがあった。また、メッセージは今作に限り「まだ こちらに」が表示されず、「きづいていない!」のみ
- ↑ この曲は新曲ではなく、『科学忍者隊ガッチャマン』のBGM「エピローグ」(『交響組曲科学忍者隊ガッチャマン』に収録、発売元:コロムビア、COCC-12585)の流用である。
- ↑ この時点より、サマルトリア王子をパーティから外したままのクリアも可能。その場合、ラストボス撃破後のサマルトリア城を含めた様々な会話も変更される。ただし、ローレシア城に戻り中を少し歩いた時点で通常の進行に戻るため、エンディングが変わる事は無い。
- ↑ 『I』のほこらとドムドーラでは『II』のBGMが、『II』のラダトーム城と竜王の城では『I』のBGMが使用された。また、『II』で3人揃っているときのフィールドBGMは、メンバーの生死に関係なく『果てしなき世界』に統一された他、ムーンブルク城のBGMが『恐怖の地下洞』→『レクイエム』に、ハーゴンの神殿1FのBGMが『恐怖の地下洞』→『魔の塔』に変更された。
- ↑ FC版ではレベル1になる復活の呪文が発行され、ゲームが終了していた。
- ↑ FC版『II』ではモンスターの出現した数により獲得した経験値が割増になるシステムになっており、倒したモンスターの経験値に(匹数-1)割増した数値(小数点以下切り上げ)が実際の獲得経験値となる。
- ↑ そのため、『II』のラーのかがみのヒントが「4つの橋が見える」から「2つの橋」に変更されている
外部リンク[]
- スクウェア・エニックス
- ドラゴンクエスト I・II - スーパーファミコン版ソフト紹介
- ドラゴンクエストI・II - ゲームボーイ版ソフト紹介
ゲーム:ゲームボーイ ドラゴンクエストI・II | |
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対応機種 | ゲームボーイ |
開発元 | トーセ |
発売元 | スクウェア・エニックス |
メディア | 12Mbitロムカセット (バッテリーバックアップ搭載) |
プレイ人数 | 1人 |
発売日 | 1999年9月23日 |
販売価格 | 4,900円(税抜) |
売上本数 | 約76万本 |
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